男なら床屋で髪を切れ
髪を切ったんですよ、床屋で。
オレは美容室が嫌いなんですよ。
あのおしゃれな空間が大嫌いなんですよ。
あいつら、おしゃれ空間演じてるでしょ。
室内でテンガロンハット被ってやがるでしょ。
1回だけ
美容室で髪を切った事があるんですよ。
またその店がおしゃれ空間演じやがってる店でですね。
案内された席が、思いっきり外向いてるんですよ。
壁がガラス張りなので、外の通行人から丸見えなんですよ。
もうペコちゃんみたいな扱いされてるんですよ。
お前、オレの一部始終を誰に公開しようとしてるんだよと。
友人の友人までの公開にしてくれよと。
しかも店が交差点の近くですから
ちょっと信号が赤になると、タクシーの運転手がこっち見よるんですよ。
そうしたらその運転手、笑顔でグーサインしやがって。
そんなにこの髪型が似合ってるのかよと。
その日が晴天で良かったですよ。
もしも雪が降っていたらと思うと、ぞっとしますわ。
貧しい家庭に育った幼い子供が、ガラスにびったり張り付いて
降りしきる雪の中、閉店前までオレを眺めよるんですよ。
街にはジングルベルが流れよるんですよ。
するとそこに大富豪が現れて、その子を哀れに思うんですよ。
そしてその子の為に、オレというトランペットを買ってあげるんですよ。
オレは、ドとレとミとファとソとラとシの音が出ないですよ。
いやファは出るわ、頑張れば出るわ。
こんにちは、ゆーきです。
それ以来、散髪は床屋で済ますオレなんですが
髪を切る時って、結構大変ですよね。
まず、自分でどんな髪型にしたいのかわからないんですよ。
希望の髪型があっても、どう説明したらいいのかわからないのですよ。
希望は後ろと横がセンチメンタルな感じで、前髪はナイーブな感じなんですね。
そんなネガティブな髪型にしたいのですよ。
でもそれが上手く説明出来ないんですよ。
だからいつもポジティブな髪型に仕上がってしまうのです。
雑誌の切り抜きとか持って行くのも恥ずかしいじゃないですか。
「この芸能人みたいにしてください」みたいな。
「・・・・・・お前、その前に整形しろや! ぶっ死ろすぞ!!」
なんて心の中で思われてそうで嫌なのです。
だから言葉で伝えるしかないのです。
結果、ポジティブな髪型になってしまうのです。
でも床屋には床屋の問題点がありましてね。
床屋の奴らは勝手に顔を剃りやがるのです。
そこが床屋と美容室の違いなんですね。
顔を剃るのが床屋、剃れないのが美容室。
顔を剃るのが床屋、剃れないのが美容室。
顔を剃るのが床屋、剃れないのが美容室。
顔を剃るのが床屋、剃れないのが美容室。
顔を剃るのが床屋、ニキビにはクレアラシル。
覚えましたか。
凄く勉強になりましたね。
問題は顔を剃る事ではなくて、別のところなんですよ。
あいつら、剃る前に顔に熱いタオルを乗せやがるんですよ。
シューマイみたいな湯気を出しよるんですよ、そのタオル。
それをあいつら、顔に乗せやがるんですよ。
「あちちちち・・・っっ!!」
って、我がでも熱がってるタオルを顔の上に乗せやがるんですよ。
毎日触ってる奴らでも熱がってるものを、人の顔に乗せやがるんですよ。
しかも口がその湿ったタオルで塞がるんですよ。
オレって諸事情で鼻呼吸が出来ないから、死にかけますわ。
もう死にそこないですわ。
息を吸うと、熱い空気が喉の奥まで入ってくるんですよ。
饅頭を目の上に置いて、顔の筋肉だけで食べる特技が無ければ死んでましたわ。
タオルで手で退けるのはカッコ悪いからですね。
そうやって自然にタオルが落下した感を演出するんですよ。
それ以外は、床屋って素敵なんですけどね。
今行っている床屋は、外からもまったく中が見えないし。
こんな素敵な出来事があったんですよ。
オレが髪を切ってもらってたら、隣の席におじさんが座ったんです。
「お前、どこを切るんよ」的なつるっぱげおじさんが。
もう切った後みたいな髪型なんですけどね。
もうそれ以上さっぱり出来ない程に。
店長も「伸びましたねー」なんて、嘘をついて生きるな。
店員も「今日はどうされます?」なんて、選択肢があるふりをするな。
そのおじさんも「さっぱりして」なんて、さっぱりにも程がありますよ。
もう剃るか、火をつけるかしかないわって感じなんですよ。
「あ、バリカンは使わないでハサミねハサミ」なんて言ってるし。
しかもシャンプーも全然泡立ってないし。
それで会計はオレと同じ4千円。
もう悪い気持ちになって、オレ8千円払おうかと思いましたよ。
そんな事より聞いてくださいよ。
夜中に口笛を吹いたら蛇が出るって迷信があるじゃないですか。
週2で蛇が出るって噂があるじゃないですか。
だから試してみたんですよ。
夜中に口笛を吹いてみたんですよ。
すると本当に蛇が現れちゃってですね。びっくりですよ。
冗談で友達の首を締めたら、本当に死んじゃった時以来のびっくりですよ。
蛇って毒を持ってる蛇と、持ってない蛇がいるじゃないですか。
だからオレはその蛇にこう尋ねたんですよ。
「貴様、毒を持ってるんですか?」って。
するとその蛇はこう言いました。
「Yes, I have.」





