借金返済への道 ~第4話 生かされる喜び~

こんにちは、オレ日記のゆーきです。
またしても締め切り当日の朝に書いてます。この性格が大嫌い。
借金返済への道 ~第1話 借りてはいけない?~
借金返済への道 ~第2話 恥ずべき日々~
借金返済への道 ~第3話 連帯保証人の罠~
そして翌日。
一時は死をも覚悟したオレは、何も恐れる事なくヤクザの事務所へと向かった。オレだって人間、ヤクザだって人間、ミミズだって生きているんだ友達なんだ。話してわからないはずはない。そう信じて単身ヤクザの事務所へと乗り込んだ。
事務所のドアを開けると、下っ端らしきチンピラが現れて、親分はまだ家にいるからと奥の部屋へと通された。この時、あの人は親分だったんだと知った。そして約束している時間に家にいるなんて、なんて自由な職業なんだと思った。まったく客をなんだと思っている。
奥の部屋は映画で見るヤクザの事務所そのもので、高価そうな壷に、屋久杉で出来たテーブル、壁にはオブジェなのか本物なのかわからない日本刀、なんだここはまるでヤクザの事務所のようではないか。そんな部屋でお茶も出されずに2時間も待たされた。まったく客をなんだと思っている。
「よぉ、逃げんかったんか、兄ちゃん」
そして親分が現れた。客を待たせるだけ待たせて、なんだこの態度は。しかも髪の毛がボサボサじゃないか、約束の時間に寝てやがったな。だいたいなんだよその発言。逃げたら追っかけてくるくせに。逃げてもいいなら余裕で逃げてるっての。
「そんで、金は用意出来たんかい」
1100万円なんて、1日で用意出来るわけがありません。佐川急便でバイトしたとしてもそんなに時給は高くありません。だから素直に用意出来ていないと伝えた。すると親分の表情は一瞬にして曇った。どうやら本気の質問だったようだ。
「今まで何回も悲惨な現場を見てきたぞ」
この言葉には本当にビビった。悲惨という単語はこんなに怖いんだと初めて知った。オレはオレで今までたくさん悲惨な経験をしている。屁をするつもりが下痢気味だったのでパンツが悲惨な目になった事もあるし、あと1個で500円の商品券になるスタンプカードを無くした悲惨な経験もある。親分が言う「悲惨な現場」とは、それ以上に悲惨だとオレの本能は即座に判断した。
「借りたお金は必ず返します」
オレは初めからそのつもりだった。相手はヤクザであろうと、借りたお金は返さないと迷惑を掛ける。迷惑と精子は人にかけてはいけない、そんな教えの中で今まで生きてきたプライドでもあった。借りたお金は返さないと、結局オレも逃げた社長と同じになってしまう。
そしてオレは親分に条件を出した。
・元金は返済するが利子は支払わない
・元金は分割にて支払う
・分割に対して発生する利子はなし
オレは怒られる覚悟、いや殺される覚悟で条件を出した。どうせ昨日は死のうとした身、ここで殺されようが何も変わらない事だと思っていたし、むしろ自分では死ねなかったのだ。いっその事なら殺してもらった方が楽に死ねると感じていたからだ。
「気に入った」
親分は笑いながらそう言った。殺される覚悟で緊張も限界に達していたオレは、あまりに唐突な言葉に拍子抜けしキョトンとした。そんな急にプロポーズされても。
親分は「逃げなかった事」「24歳の若造がひとりでヤクザの事務所に乗り込んできたこと」「借りたお金は返すと筋を通したこと」に対して、オレに男気を感じたと言った。そしてオレが出した全ての条件を飲んでくれた。
ヤクザとしても、オレが逃げることはピンチだとは知っていた。オレまでもが逃げたり自己破産すると、ヤクザは誰からも回収出来なくなる。ヤクザだって商売だ、元金だけでも回収出来るに越した事はない。条件はそう考えていたオレの賭けだった。
その男と男の約束を交わすと、時間の止まった気がする事務所を後にした。外の空気がこれだけ美味しいとは思わなかった。初めて風俗に行った帰りのように、何か人間として一回り大きくなったような気がした。世界が少しだけ広く見えた。
しかしまだ安心出来ない。ヤクザとの交渉がまとまったとは言え、オレには借金が総額700万円以上あるのだから。
次の日から、昼の仕事に加え、夜はコンビニでアルバイトを始めた。ただひたすら借金を返す為に、1日に20時間休みなくひたすら働いた。そうして毎月20万円強の返済をしていた。しかし人間の身体とは、そんなにタフでは無く、2年目に体調を崩して倒れた。
身体を使ってお金を稼ぐには限界がある。そこに運良く現れたのがアフィリエイトだった。当時はブログがまだ普及していない時期で、オレも何気なしにライブドアでブログを始めていた。その頃のオレ日記はニュースサイトで、様々なサイトからリンクを頂き、アクセスも日に1~3万、多い日で10万を超えた時もあった。
その時に広告の出稿依頼をしてくれる広告主に出会い、オレはまたしても生かされた。ちょうど広告業界もバブルだったのか、今のオレ日記では考えられない単価で契約をしてくれた。これが無ければ、今頃オレは死んでいたかも知れない。読者と広告主には本当に感謝しています。
今ではアクセスもガタ落ちで、それこそ“悲惨な状況”に陥ってかなり収入も減ったのですが、新たに会社の経営や副業を始め、その借金はほぼ完済しました。人間死ぬ気になれば何でも出来る。
つまり、借金なんてどーにかなる。
<次回最終回>




