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ホームページ管理人

ろじぱらワタナベ

少し前、新宿で、ある有名サイト管理人さんと飲みましてね。
その方と知り合ったのは数年前で、
お互いネット上で一緒に絡んだこともあったのですが、、
直接お会いしたのはそのときが初めてでした。

お互い管理人暦は長いですから、
ちょっと昔のネット界の話に花が咲きましてね。
その会話のなかで

「ホームページの管理人は、実世界は不幸であったほうが面白い文章を書ける」

という話になりまして、これにかなーり同意してしまったんですよ。

当時、インターネットに文章を記すには、それなりの覚悟が必要だった。
まず有料プロバイダに申し込んでホームーページの容量を確保。
次にサイトを作るために有料ソフトを買うか、
HTMLとCSSの本を眺めながら自分でHTMLを書き込んでいく。
無料ブログに登録して、携帯で気軽に更新するような環境じゃなかった。

だから、その当時のホームページは、
その手間と費用を差し引いても他人に何かを伝えたい、
そういう想いにみなぎっていた。
もちろん、時としてそのページの主張が世間的に間違っていることも多々あったけど。
だけど、読む人も見る人も、皆ある種の覚悟をもってネットに接していた。
「俺はこの文章を読ませたい」
「みんなに私がここにいることを知ってほしい」

仕事が順調で、家庭が順調で、そういう人が気軽に書いているブログ。
確かに面白いものもあります。
だけど、かつて、ブログがホームページと呼ばれていた時代、
ネットはそういう人のためのものではなかった。
世間から半歩距離を置いた、置かざるをえなかった、
そういう人のためのものだった。

実世界では誰にも相手にされず、必要とされず、
叫び声を上げたくても声をだす場所がなく、
勇気を振り絞って出した言葉は誰にも届かない。

そういう人が作ったホームページの迫力は、
本当ににすさまじいものがありました。
水の出ているホースの先っぽを押しつぶしたときのように、
出口のない思いがネットという細い穴を通じて
すさまじい勢いで噴き出していました。

人生のサブにネットがあるんじゃない。
ネットがメインだった。
人生と平行してネットがあるんじゃない。
ネットが入り口であり、出口だった。
ボクらにはネットしかなかった。ホームページしかなかった。
自らの言葉を発せるのは、自分の存在を世間に知らしめる手段は、
自分が作ったホームページしかなかった。

近年は芸能人のブログが流行しているけど、
違うんだ。
そういうんじゃないんだ。
あなた方にはスポットライトを浴びる場所が他にもある。
ネットの外に、もっと華やかな世界を持っている。
だけど、ボクたちの舞台はここしかないんだ。
罵詈雑言が飛び交う荒地にしか、ボクたちは生きていけなかったんだ。

当時、学生だったホームページ管理人は、みな社会人になった。
ある人は会社に生きがいを見つけ、
ある人は結婚し、家庭を持ち、子供を持った。
みな、自分の存在意義を他に見出せるようになった。
そしてネットから離れていった。

ボクだけが残った。残された。

夕暮れの住宅地。
刻一刻と夜が濃くなり、道端の住宅から灯りが漏れ、
楽しそうな声が聞こえてくる。
だけど、ボクはまだその中には入れない。
いつしか共に歩いていた人はいなくなり、街灯もひとつひとつ消えていく世界で
それでもボクは道を歩き続ける。
ボクが居てのいいのは、この世界だけだから。

だからボクは今日もネットに文章を記す。
これを見ているあなただけが、私を必要としてくれているから。














……といった話を熱弁したところ
「そこまで後ろ暗い想いをしてホームページをやっていたわけでは……」
「それは被害妄想です」
「脚色もはなはだしい」
といった否定のされ方をしたので、今日もまた引きこもろうかと思います。
「はい、そろそろお友達の紹介を」 <タモリ
「えっと、いません」 <えー、という声もなく


投稿日: 2007年09月11日

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